より良い根管治療をおこなうために

マイクロスコープで肉眼の32倍拡大する精密治療

さまざまな研究や医療器具の進歩のおかげで、ひと昔前の歯科治療に比べると現在は治療できる歯の幅が大きく広がっています。抜歯という最悪の事態を避け、快適な食生活を長く続けることは、健康上、多大な影響を与えることがわかっています。より長く、より多くの天然の歯を残すため、歯科医師の心強い味方となる最新の医療器具のひとつがマイクロスコープです。その名の通りマイクロスコープ（歯科用実体顕微鏡）とは、治療部位を拡大する顕微鏡のこと。

マイクロスコープを使用することで、従来の歯科治療では発見することが難しかった細部の病変も、しっかり診察することが可能になっています。マイクロスコープが導入されたおかげで根管治療のみならず、口の中の診査や虫歯の治療、口腔外科など、様々な分野でより幅広く、精度の高い治療を目指せるのです。

このように歯科治療全般で、大きな恩恵をもたらしてくれるマイクロスコープですが、国内で導入している歯科医院は5％に満たないとも言われ、実際に稼働させている歯科医院となると、さらに数が限られてくるのが実際のところです。当院ではマイクロスコープの中でも特に性能に定評のある、LEICA社製のマイクロスコープを採用しており、治療に積極的に取り入れています。

視野を8倍～32倍まで拡大し、なおかつ、明るく映し出してくれるので、狭く暗いお口の中で問題のある部位を実際に肉眼で確認しながら治療を施すこともできます。また、マイクロスコープの視野を静止画や動画というかたちで詳細に記録できることも、適切な治療や患者さんの治療へのご理解を深める上で、大きく役立っています。患者さんへのわかりやすい説明に役立てるため、当院ではマイクロスコープ視野による治療や診察のときに写真や動画を撮影しています。

CTによる正確な根管状態診断

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)と同じく、CTも狭く暗いお口の中の病気を「見える化」するための最新の機器です。二次元のデジタルレントゲンでは捉えにくく見えない部分も、三次元のCTを使用することによって可視化することが可能です。CTを使うと、レントゲンではわかりにくい根尖病巣の状態もしっかりわかります。根尖病巣はレントゲンにはぼんやり黒く映るため、有無の判断が難しい場合もありますが、より精密な診査・診断ができるので、効果的な治療を実現できます。

ラバーダムによる口内感染予防

当院では根管治療の成功率を高め、再発を抑制するために、ラバーダム防湿をしっかりと実施した上で根管治療を行なっています。お口の中の細菌が治療部位に感染を防止するために使われるのが、ラバーダムというゴム製のシートです。治療の際、歯以外の部分に覆いかぶせることで、患部への唾液の侵入や細菌感染を防止できます。

まだまだ実施している歯科医院が少ないのが日本の現状ですが、ラバーダム防湿をすると、様々な口腔内細菌が根管に侵入するのを防ぎ、無菌的な処置を行うことが可能になりますので、ラバーダム防湿は根管治療の成功率を高めるためには必須のものと考えられます。全国でも根管治療でラバーダム防湿を実施している歯科医院の割合は、数％程度に留まっているとされていますが、欧米の根管治療では必須の処置として広く浸透しています。

レーザー治療

根管治療の中でも特に難しいケースを成功させるために不可欠なのが最新式のエルビウムヤグレーザーです。レーザー光によって殺菌しながら、根の外側から流入する血液を同時に止血できます。マイクロスコープと併用して、患部を確認しながら感染部分だけを殺菌することが可能です。レーザーというと痛そうなイメージを抱く方も少なくないようですが、実際は他の部分への影響も最小限に抑制することができ、治療による刺激で腫れや出血が起こるリスクはほとんどの場合ありません。

痛みもほぼないので、麻酔が必要になる場合はごく稀になっています。しかも、エルビウムヤグレーザーは患部の治癒を促進させる効果もあるので、治療期間は従来よりも短くなり、安全で負担の少ない施術が行えるのです。当院ではピンポイントで幹部にレーザーを照射するために、先端部分が小さいヨシダ社製のエルビウムヤグレーザーを導入しております。

ニッケルチタンファイル

根管治療では「ファイル」と呼ばれる器具を使用して、細菌に侵されてしまった部分を綺麗に除去していきます。当院ではステンレススチールという従来式のものよりも、柔軟性などに優れているニッケルチタンファイルを治療に取り入れています。ニッケルチタンファイルによる治療は電動でムラがなく効率的な治療方法で、専用機器と併用することで、一人ひとりの患者さんに最適な治療を提供することが可能です。

ビジュアルでわかりやすく説明

当院では診療室のモニターを使って治療中の動画や写真を映し、患者さんに現在の歯の状態を説明し、どんな治療をしているのかなど、わかりやすく説明させていただきます。実際に患者さん自身にご覧いただくことで、しっかりとご納得して治療に取り組んでいただけるように心がけています。